労使見解

中小企業家同友会における「労使見解」は、労使間の信頼関係を基本とした企業経営のアプローチです。この見解は、1975年に同友会によって確立されたもので、中小企業の労働問題に対処するための基本文書として位置づけられています。

労使見解の核心は、経営者が労働者の立場、考え方、感情を理解し、誠意をもって交渉に臨む姿勢にあります。経営者は、労働条件の改善について実行可能なこと、検討すべきこと、当面不可能なことを明確にし、全力で労働者を説得し、理解と協力を求める努力が求められます。また、労働者の要求に対して誠実に交渉する態度が重要であり、社会的な賃金水準や企業の支払い能力、物価の動向などを考慮して賃金の引き上げを検討することが推奨されています。

さらに、労使関係においては、経済的な側面だけでなく、労働者の「やりがいのある仕事」への要望や人間性回復の問題も重要視されます。労使間のコミュニケーションの改善や意思疎通の促進が経営者の責任とされ、労働者との関係を構築するためには、団体交渉だけでなく、職場内の組織や他の機会を通じた取り組みも必要とされています。

このように、労使見解は、中小企業の労使関係を構築し、企業の発展を促すための基本的なアプローチを提供しています。